今年1月に3日間、奈良でたくさんのお寺を訪れましたが、そのひとつに「東大寺」がありました。
東大寺は8世紀に建てられたお寺で本尊は「奈良の大仏」ですが、大仏の他にも「四天王」の仏像もあります。
「四天王」は、通常、持国天(じこくてん)、増長天(ぞうちょうてん)、広目天(こうもくてん)、多聞天(たもんてん)の順に表記されるようです。
「持国天」は東南の隅に配置された「東方を守る守護神」、「増長天」は西南の隅に配置された「南方を守る守護神」、「広目天」は北西の隅に配置された「西方を守る守護神」、「多聞天」は北東の隅に配置された「北方を守る守護神」です。
「釈迦如来」の前方に立つ「持国天」と「増長天」は2神とも目を大きく見開き、威圧感があります。いずれも怖い顔をしていますが「持国天」は口をへの字にしているのに対し「増長天」は口を開けています。また「持国天」は左足で邪鬼の頭を踏みつけ、「増長天」は右足で邪鬼の頭を踏みつけています。
次に「釈迦如来」の後方に立つ「広目天」と「多聞天」は、顔が兄弟のように似ていて、2神とも遠くを眺めるような眼差しで、やはり怒っているように見えます。「広目天」は右手をおろし「多聞天」は右手をあげています。
私は、これらの「四天王」を仏像として見ただけでは、数日後には記憶から消えてしまいますが、いくつかの切り口で比較してみたり、「人間界」に降りてきていただき人間として観察したりすることによって、強烈に記憶に定着するのではないかと思っています。
それでは「四天王のなんでもランキング」です。
①偉い順:
たぶん、表記順だと思いますので、1.持国天、2.増長天、3.広目天、4.多聞天、の順です。また、前方に持国天・増長天、後方に広目天・多聞天が立っていることからも、その理解で間違いないと思います。レイアウト的には時計回りです。
②身長の高い順:
1.広目天(169.9cm)、2.多聞天(164.5cm)、3.増長天(162.2cm)、4.持国天(160.5cm)の順です。
③顔の怖い順:
私の主観的な印象では、1.増長天、2.持国天、3.多聞天、4.広目天の順で、レイアウト的には反時計回りです。
「四天王」を眺めていると、いずれも人間的なところが感じられます。前列の「持国天」と「増長天」は、体育会系で豪快にお酒を飲み、酔うと若いのを捕まえて説教をしたがる、単純でわかりやすいタイプの神様、後列の「広目天」と「多聞天」は、理知的で、口数が少なく「笑ってたまるか」という顔をしていますが根は優しく、落語を聞きながらニヤッと笑うような、少し複雑でわかりにくいタイプの神様です。
もし「四天王」が、「もっちゃん」、「ぞうちゃん」、「こうちゃん」、「たもちゃん」などと呼べるような身近な存在であれば、よい飲み友だちになれそうな気がします。
※添付画像は東大寺でいただいた案内で、右から、持国天、多聞天、広目天、増長天です。
2017.09.18
