このところ、働き方改革の一環で「在宅勤務制度」を導入する企業が増えています。
そのひとつに、三菱UFJモルガン・スタンレー証券があります。10月から本社勤務の約3,200人を対象に在宅勤務制度を導入しました。調査、企画部門を中心に200人程度の在宅勤務を想定しているようです。在宅勤務を選択した人たちは、会社から支給されたPCと電話を使いながら仕事をすることになります。
在宅勤務のメリットとして、
・通勤時間がなくなる、
・住む場所が通勤圏に限定されない、
・育児や介護や家事との両立ができる、
などが考えられ、今まで育児や介護のために退職を余儀なくされてきた女性に喜ばれる制度だと思います。
また、毎日、嫌な上司や同僚と顔を合わせることから解放されますので、人づきあいの苦手な人たちにも喜ばれる制度だと思います。
会社としてのメリットもあります。
今まで、育児や介護などで「短時間勤務」だったスタッフが「フルタイム勤務」になりますので、労働力の確保がしやすくなり、また、在宅勤務スタッフひとりひとりの座席を用意する必要がなくなります。
在宅勤務のデメリットとしては、コミュニケーション不足に起因する問題がいろいろと発生しそうです。また、人と話す機会が格段に減りますので、よほどしっかりした人でないと、モチベーションの維持が難しいかもしれません。
会社としてのデメリットは、情報セキュリティの確保が難しいこと、労務管理が難しいことなどが考えられます。
在宅勤務に適している職種は、PCを使った専門的な仕事で、人と接しなくても自分のペースで進めることのできる仕事が多く、IT企業のプログラマー、デザイナー、ライターなどの他、一般企業の企画業務などが中心で、会社によって異なりますが、会社全体の1~2割のところが多いのではないでしょうか。
もしかすると、北海道に住みながら、九州の会社に就職する人も現れてくるかもしれません。理屈では可能です。
ところで、在宅勤務制度と聞くと、一見、とても画期的なことのように聞こえるのですが、このような仕事の形態は昔からあったような気がしていました。
業務委託です。
たとえば、東京のメーカーのお客様相談室に電話をしたら、そのメーカーから委託を受けた沖縄のコールセンターが対応したり、時差を利用して海外取引先に業務を委託するのは、昔から行われていました。
この「業務委託先」が「正社員」に変わっただけです。
つまり「在宅勤務」とは「社内業務委託」であり、この委託先が正社員ではなく、契約社員やフリーランスになった途端、従来の業務委託そのものに戻ってしまうということです。
そのように考えると「在宅勤務」は今に始まったことではなく、それほど真新しいことでもないか、とも感じられます。
2017.10.15