現在、インドネシア通貨ルピアのデノミが検討されています。
1990年代後半のアジア通貨危機でルピアの価値が下落し、その後も低迷が続いているからです。
最近の為替レートは1ルピアが0.0084円前後、つまり1円が120ルピアです。ですから、牛丼の並盛が約3万5,000ルピア(≒約300円)、首都ジャカルタ中心部のワンルームマンションの年間家賃が1億ルピア(≒84万円)となります。
インドネシアで現在流通しているルピア紙幣(Rp)は、Rp1,000、Rp2,000、Rp5,000、Rp10,000、Rp20,000、Rp50,000、Rp100,000の7種類です。
数年前に仕事でジャカルタに行ったとき、ルピア紙幣のゼロが多いのに驚きました。
最初のうちは、紙幣をじっと見つめながらゼロの数を勘定するのでまどろっこしかったのですが、地元の人が、Rp100,000(≒840円)は赤、Rp50,000(≒420円)は青、Rp20,000(≒168円)は緑と、色で判断していることを知ってからは、買い物もスムーズになりました。
デノミが実施されると額面が1000分の1に切り下げられますが、よくもまあ今まで、このゼロだらけの紙幣を辛抱して使ってきたものだと感心します。
私の感覚では、インドネシア人は相当に辛抱強いというか、日本人であれば、ちょっと工夫して改良するようなことでも、そのまま受け入れている傾向が強いような気がします。
たとえば、交通渋滞。
通勤距離が約50kmで、そのほとんどが自動車専用道路でしたので40分前後で到着しそうなものですが、ひどい時には3時間もかかりました。
なぜかというと、道路の作り方に問題があるのです。
最初のうちは快調に走っているのですが、突然、車の流れがピタッと止まってしまい、そこから1~2時間ほとんど動きません。
その道路の先には道が二股に分かれるところがあり、そのうちの一方は車が走っていません。ちょっと工夫してバイパスを造れば流れがスムーズになりそうな気もします。
それというのも、第二次世界大戦中の日本軍占領時代に作られた道路をそのまま使っているところがあちこちにあり、ジャカルタの交通渋滞は堂々の世界ワースト1、ジャカルタの慢性的な交通渋滞による経済損失は年間4,000億円を超え、年々それが増大していると言われています。
ところが、ジャカルタの人たちはそれに不満をもらさず、現状を受け入れているのです。
インフラも整備されていません。
コンビニで買い物している最中に停電することもありました。薄暗がりの中でなんとか買い物はできるのですが、停電でレジが使えないので手作業になります。
会社でPCを使っているときに停電になったこともありました。インターネットの速度も極端に遅く、10MBの添付ファイルを開くのに10分ぐらいかかります。
それでも現地の人たちはあっけらかんとしています。人懐っこい人がとても多いのです。
インドネシアは世界一イスラム教徒の多い国です。
2001年9月のアメリカ同時多発テロ以来、イスラム過激派、タリバンや IS などの活動が活発になったため、イスラム教をひとくくりで捉えて、危険視し勝ちですが、インドネシア人のような、人懐っこくて辛抱強い人たちもいることを忘れてはいけないと思います。
※画像は「100,000ルピア紙幣」で約830円、インドネシア共和国建国の父・スカルノ初代大統領(左)とハッタ初代副大統領(右)が描かれています。ちなみにジャカルタの空港はスカルノ・ハッタ国際空港です。
2017.07.21
