本題に入る前に、ひとつ。昨日の朝
「日本経済の構造」に関するブログをアップロードしたところ、夕方になって
時事通信社が同様の趣旨の記事を配信しました。もちろん偶然だと思いますが、問題の捉え方の根幹部分が、時事通信社と私とまったく同じでしたので「考えていることは同じだなぁ」と思いました。
さて、日本語は世界で最も難しい言語のひとつになっていますが、今回は、日本に住み始めたアメリカ人にとって、なぜ日本語が難しいのかを考えてみます。
ひと口にアメリカ人と言っても、育った環境がそれぞれ異なりますので一概には言えませんが、知り合いの数人のアメリカ人を思い浮かべながら考えてみたいと思います。
日本語が難しく感じる理由を3つ挙げるとすれば、「音節」・「助詞」・「連語」になるのではないかと思います。
1.音節:
アメリカ人の耳には日本語が機関銃のように早く聞こえるようです。
これには「音節」が関係しています。
音節は、中学校か高校で習います。英語教師の教え方が悪かったので苦労された方も多いかと思いますが、いたって簡単です。英語の単語の中に含まれる母音の数を勘定するだけでOKです。
そして、英語は、この「音節」をひとつの単位として「強弱のリズム」が等間隔になるように話されます。
それに対し、日本語は「あ・い・う・え・お」それぞれが1音節ですので英語よりも音節と音節との間隔が短いうえに強弱のリズムがなく一本調子です。
そのため、アメリカ人の耳には無茶苦茶早く聞こえるようです。
2.助詞:
「は」と「が」などの助詞の使い方が難しいようです。日本人でも正しく使い分けられない人もたくさんいますから、アメリカ人にとってはなおさらです。
3.連語(コロケーション):
日本語にも英語にも「この名詞がきたらこの動詞を使う」という結びつきの強い慣用表現があります。
たとえば、
①日本語では「電話を切る」と言いますが、英語では「受話器を置く」と言います。
日本語の「電話」には「通話」という意味があり、「切る」には「途切れさせる」という意味があります。ですから、「通話を途切れさせる」→「電話を切る」となります。
そして、日本語の「電話を切る」を機械翻訳すると「cut the phone」となりますが、これをネイティブが聞くと「えっ、電話を切る? 電話線でも切るの?」と驚きます。
これに対し英語は「受話器を置く」=「hang up the phone」ですから、いたって単純です。
②日本語の「答えを考える」は、英語では「答えを見つける」=「find the answer」です。
「答えを考える」と聞けば「答えの哲学的な意味を分析する」ような響きがあるようです。
③日本語の「お茶を入れる」は、英語では「お茶を作る」=「make tea」です。この「入れる」が難しいようです。
④日本語の「蕎麦を打つ」は、英語では「蕎麦を作る」=「make soba」です。この「打つ」が難しいようです。
⑤日本語の「辞書を引く」は、英語では「辞書を調べる」=「look in a dictionary」や「辞書を参照する」=「refer to a dictionary」です。
この「引く」がピンとこないようです。
このように英語の場合は説明不要ですが、日本語の場合は、連語を知っていなければ「電話をどうするのか?」、「答えをどうするのか?」、「お茶をどうするのか?」、「蕎麦をどうするのか?」、「辞書をどうするのか?」が理解できません。
このような連語が数千ありますので、外国人にとっては高い壁になります。
しかし、日本人は外国人が完璧な日本語を話すことを期待しているわけではありません。むしろ、変な日本語で、変なイントネーションで、「ヘンな外人」ぐらいの方が親しみがわきます。
2017.10.07