アメリカの対日貿易赤字が拡大し続け、トランプ政権はこれを問題視しています。
今年3月の貿易統計によると、対日貿易赤字は72億ドル(約8,200億円)、そのうちの70%の約51億ドルが自動車関連の赤字です。
自動車の日本への輸出が2億ドル弱なのに対し、日本からの輸入が約53億ドルです。つまり、アメ車が売れず日本車が売れているということです。
トランプ大統領は、この問題に腹を立てているのですが、アメリカでの自動車販売の構造を知れば、簡単に解消できないことがよくわかります。
アメリカでは、ざっくり言うと、新車販売のうちの半分以上がリースで、2~3年、あるいは5年のリース契約を結び、リース契約期間が満了すると同時に新しい新車に乗り換えるのが主流になっています。
2~3年ごとに新車に乗り換えていれば、あまり故障の心配もなく、月々支払うリース料も、ローンで新車を購入するときの支払い額と比べれば安いので、合理的と言えば合理的です。
リース期間が終了すれば、その車はリース会社に戻され、中古車市場に流されます。そのときの中古車価格を「残価」と言います。
月々のリース料の算出式は次のようになります。
5年リースの場合であれば、月々のリース料は(車両価格ー残価)÷ 60か月、です。
このように、中古車としていくらで売れるか次第でリース料が変わってくるのです。
日本車はアメ車と比較すると、燃費が良く、耐久性に優れ、故障が少ないため、はるかにリセールバリューが高いのが現状です。日本車のリセールバリューが高いため、日本車のリース料はアメ車のそれと比較すると、相対的に安くなります。
その結果、日本車をリースする人が多くなり、日本車が売れることになり、対日貿易赤字が解消されません。当たり前のことです。
2017.05.22