昨年夏に韓国に亡命した元駐英公使の太永浩(テ・ヨンホ)さんが、3月に日本のメディア向けの記者会見で次のように話していました。
金正恩は、自分が核兵器を持てば米国や韓国は絶対に北朝鮮に攻めてこないと信じています。世界が自分をどう見ているかはまったく気にしていません。気にしているのは、幹部や住民が自分をどのように見ているかです。
どうでしょうか?
当たっているような、いないような、・・・。
確かに北朝鮮が核を持っていれば、100%に近い確率で成功するという目途がたつまでは北朝鮮を攻撃することができません。世界が金正恩をどのように見ているのかについては、金正恩は、気にしていないどころか、おおいに気にしていると思います。幹部や住民が金正恩をどのように見ているのかについては、かなり気にしているでしょう。
金正恩政権になってから、金王朝に対する住民の忠誠心は揺らぎ、心はとっくに金王朝から離れています。
以前、読売新聞に次のようなことが書かれていましたので、たぶん、その通りなのだろうと思います。
北朝鮮住民は、表立って金正恩を批判することはもちろん、話題にすることも禁じられていますが、仲間内では「あの豚野郎」と罵倒し、企業・学校・軍の施設などには、金正恩を批判する落書きがあります。
中朝国境では、北朝鮮の貿易商が、金王朝への忠誠を示す「肖像画バッチ」を売って小銭を稼いでいます。「肖像画バッチ」には、「金日成バッチ」と「金日成・金正日バッチ」があり、この2つを合わせて500元(約8,000円)が相場です。
金正恩はと言えば、精神的に不安定、週3~4回酒宴を催し、飲むと自制がきかなくなり、暴飲暴食がたたって心臓疾患を患い、暗殺を警戒して視察日程を突然変更することもしばしば、毒物、爆発物にも警戒し、身辺に探知装置を配置、などと伝えられています。
いまの情報化社会で情報統制をすることは、ほとんど不可能です。
2月の金正男さん暗殺後、北朝鮮の秘密警察・国家保衛省担当者が、海外駐在の貿易商や企業関係者たちに個別に連絡し、事件の報道を見たり、携帯電話からインターネットに接続したりすることを禁止しましたが、所詮無理な話です。
北朝鮮の親のような存在の中国の検索サイトでは、金正恩の悪口が検索不可扱いになっていて、金正恩の悪口のうち「金三胖」などいくつかが規制ワードになっています。これは「金3代目の太っちょ」という意味です。しかし、中国政府は意図的に、同様の意味を持つ「金胖三」、「金三肥」を規制ワードからはずしています。これは中国国民のガス抜きのためだそうです。
2017.05.17