きょう5月9日は韓国大統領選挙です。日本もアメリカも中国も、そして北朝鮮も注目しています。
有力候補3人のうち、誰が当選するのでしょうか?
選挙前最後となる5月3日の韓国世論調査の結果では、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補の支持率は38%、野党第2党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補の支持率は20%、朴槿恵・前大統領のセヌリ党が名前を変えた「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補の支持率は16%でした。5月4日以降の世論調査結果の発表は公職選挙法で禁じられていますので、現在どのようになっているのかわかりません。
この数字だけを見ると、文在寅候補が圧倒的に有利に見えますが、世論調査結果を真に受けてはいけないと思うのです。
次の①~⑩の追加情報を踏まえたうえで、もう一度、この支持率を見るとどのように補正されるのでしょうか?
①文在寅候補は反米・親北朝鮮、安哲秀候補は中道左派、洪準杓候補は親米・反北朝鮮、
②韓国の若年層の失業率が約10%と過去最悪、切実な社会問題になっていること、
③韓国では北朝鮮の軍事的な脅威をさほど感じていないこと、
④文在寅候補は経済立て直しを掲げ、20~40代に人気があること、
⑤洪準杓候補は北朝鮮の脅威を訴え、50~70代に人気があること、
⑥文在寅候補の地盤は地方、洪準杓候補の地盤はソウルであること、
⑦洪準杓候補の「自由韓国党」は朴槿恵・前大統領のセヌリ党が名前を変えただけであること、
⑧世論調査で朴槿恵の出身母体の政党を支持しますとは言いにくいこと、
⑨韓国も少子高齢化で高齢者人口が多いこと、
⑩大統領選挙前の1週間の世論調査結果は発表されないこと、
文在寅候補に有利に働くのは②③④、安哲秀候補に有利に働くのは特になし、洪準杓候補に有利に働くのは⑤⑥⑧⑨⑩、逆に、文在寅候補に不利に働くのは⑤⑥⑧⑨⑩、安哲秀候補に不利に働くのは特になし、洪準杓候補に不利に働くのは②③④⑦で、罷免された朴槿恵・前大統領と同じ政党だということが最大の弱みです。
このように考えると、世論調査の結果に表れない 隠れ洪準杓支持層の動向が選挙結果に大きく影響を与えそうな気がします。
韓国では、すでに文在寅候補が当選を確信したかのようにふるまい、株価も文在寅・新大統領誕生を先取りした動きになっていますが、果たしてどうなるのでしょうか?
今夜からあす未明にかけて判明する開票結果は、支持率38%だった文在寅候補を、支持率16%だった洪準杓候補が追い上げ、支持率20%だった安哲秀候補が後退することになると思います。
しかし、支持率38%と16%との差は大きく、どこまで追い上げられるかはわかりません。
日本にとっては、誰が大統領になってもロクなことはありません。好ましくない順番で言うと、文在寅候補、安哲秀候補、洪準杓候補の順ですから、消去法で言うと、3人の中では洪準杓候補が新大統領になるのがいちばん望ましいのではないかと思います。
2017.05.09