北朝鮮が先制攻撃するケースの誘因として、アメリカからの軍事的圧力が考えられます。たとえば、原子力空母・カールビンソンを朝鮮半島近海に配置し、北朝鮮に対してじわじわと圧力をかけたときに、ある日突然、暴発することが考えられます。
この場合の標的は、アメリカか、その同盟国の韓国か日本になります。
大陸間弾道ミサイル ICBM をワシントンに向けて発射するかもしれません。北朝鮮からワシントンまでの距離は約1万km、テポドン2改良型の射程距離は約1万kmですので、十分到達する可能性があります。
その場合、アメリカは、イージス艦からスタンダード・ミサイル SM3を発射し、この弾道ミサイルを大気圏外で迎撃しようとしますが、もしこれが命中しなかった場合には、地上から地対空ミサイル・パトリオット改良型 PAC3を発射します。
しかし、PAC3は射程距離が短いのが難点です。上空 約10kmで迎撃しますから、命中したとしても、無数の破片や、生物兵器であった場合には猛毒が数kmから数10km、あるいはそれ以上の範囲で飛散します。
ですから、まずは、地上への被害の拡大を防止するために、いったん大気圏外に出た弾道ミサイルが再び大気圏に突入する段階で、アラスカ州に配備された最終段階高高度地域防衛システム THAAD で迎撃することになります。
北朝鮮からの大陸間弾道ミサイルに対してアメリカはこの3段階で対応するので、これらのシステムがうまく働けば、ワシントンが火の海になることはなさそうです。
では、北朝鮮がアメリカの同盟国の日本の、たとえば、東京を標的とした場合はどうでしょうか。
SM3は海上自衛隊のイージス艦に搭載し、PAC3は航空自衛隊が配備していますが、最終段階高高度地域防衛システム THAAD はありません。
心配なのは、
①海上自衛隊と航空自衛隊という2つの組織の横の連携がうまくいかなかったとき、
②イージス艦からの SM3が命中しなかったとき、
③地対空ミサイル PAC3が命中しても日本国土に甚大な被害が発生したとき、
④SM3と PAC3のいずれも外れてしまったとき、
⑤北朝鮮が飽和攻撃を仕掛け、同時に大量のミサイルを発射したとき、
などで、想像しただけでもゾッとします。
2017.04.15