北朝鮮の核・ミサイル開発には、アメリカも中国も手を焼いています。北朝鮮は、ある日突然、暴発するかもしれないので危険です。
アメリカは、北朝鮮の生命線を握っている中国に圧力をかけさせ、中国の手で北朝鮮を骨抜きにしたいと考えています。それに対して中国は、当面は北朝鮮を倒したくありません。
それは、北朝鮮の核開発にも反対ですが、米韓が進めている高高度ミサイル防衛システム(THAAD)の韓国配備にも反対しているからです。北朝鮮を含む朝鮮半島全体が資本主義国家になることも望んではいません。
だから、中国にとっては、北朝鮮に対する制裁のさじ加減をコントロールしながら、北朝鮮をいまの状態のまま生かしておくのがよいのです。
しかし、そのように虫のいい話には、アメリカも韓国も、ましてや北朝鮮も応じるはずがありません。
ところで、北朝鮮が暴発したとき、どこに向けて核・ミサイルを発射するのでしょうか?
ワシントンかもしれませんし、同盟国のソウルや東京かもしれません。また、中国が、国連やアメリカの意向を受け入れ、地下パイプラインを通じた年間50万トンの原油供給をストップしてしまえば、数か月で北朝鮮の国内経済がマヒすることがわかっていますので、北朝鮮はそれを中国からの宣戦布告と受け取り、核・ミサイルの標的が北京になるかもしれません。
中国が標的になった場合には、当然、中国が軍事行動を起こします。すべては状況次第です。
いま北朝鮮は、バランスを失いかけながら綱渡りをしている状態です。
朝鮮半島情勢の利害関係者には、アメリカ、中国、韓国、日本のほか脱北者がいます。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、状況が変化していて、なにをきっかけにして激しく動き出すのかはわかりません。それによっていくつものシナリオが考えられます。
もちろん北朝鮮が核・ミサイルを完全放棄すれば生き残る道はあります。北朝鮮が核を持たなければ、ただのちっぽけな国だからです。しかし、北朝鮮の現政権にはその選択肢はありません。
であれば、どのようなプロセスをたどるにしても、北朝鮮の現政権は、結局は崩壊するしかないということになります。
2017.04.13