新しい国家は、21世紀に入ってからも6か国ほど誕生していて、さほど珍しいことではありませんが、いちどできた国家が崩壊することは滅多にありません。
記憶に新しいところでは、1989(平成元)年の東ドイツの崩壊、1991(平成3)年のソ連の崩壊といったところです。
国家の誕生は日常なので驚きもしませんが、国家の崩壊は非日常なので、崩壊しそうだといわれても「まさか」と考える人が多いのです。
しかし、その「まさか」が北朝鮮についていえば十分にあり得ることで、私は2~3年前からその兆しを感じていました。
北朝鮮の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」です。数年前までは、TV、ラジオで、北朝鮮のニュースを報じるときは、決まって「北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国は、・・・」と言っていたものですが、最近では通称名の「北朝鮮」だけです。国家の実態が、あまりにも「民主主義」や「人民共和国」とかけ離れているので削除したのかもしれません。
北朝鮮は第二次世界大戦後の1948(昭和23)年に独立しました。北朝鮮の初代の最高指導者は金日成(キムイルソン)です。
あまり知られていないようですが、その金日成は満州国の抗日ゲリラの頭領で、日本の官憲がその討伐に多額の懸賞金をかけたほど手を焼いたゲリラでした。
その後、第二次世界大戦中に日本軍の討伐作戦で劣勢となってソ連に逃げ込み、ソ連極東戦線傘下の旅団に編入されて、1945(昭和20)年に終戦を迎えたときにはソ連軍の大尉でした。
そして、戦後、ソ連が朝鮮半島の北緯38度線以北を占領し、1948(昭和23)年、ソ連軍政当局の後押しで北朝鮮の指導者となりました。
その後、金日成は次第に神格化され、北朝鮮人民から「偉大なる首領様」と崇拝されるようになりました。
現政権は、その抗日ゲリラだった金日成の孫で3代目です。このように北朝鮮はわずか70年の歴史しかなく、まだ国家としても安定していません。安定していないので、いつ崩壊しても不思議ではないのです。
2017.04.12