いままで朝鮮半島情勢の主役は、アメリカ、中国、北朝鮮の3か国でしたが、ここに来てロシアが動き出してきました。
現時点では、ロシア軍を北朝鮮との国境付近に派遣し国境警備を強化している段階です。ロシアと北朝鮮との国境の長さは約17kmと短いのですが、ロシア極東の都市ウラジオストクから北朝鮮の国境までは直線距離で約100kmしかなく、北朝鮮からたくさんの難民がロシアに押し寄せる事態を考えると、国境警備を強化するのは当然のことです。
しかし、ロシアの意図はこれだけでしょうか?
もともと北緯38度線以北の現在の北朝鮮の地域は、第二次世界大戦後ソ連が占領していたところで、戦後の1948(昭和23)年、ソ連軍政当局の後押しで、終戦時点でソ連軍の大尉だった金日成を北朝鮮の指導者に据えたという経緯があります。
ですから、北朝鮮はソ連が作った国です。ここが北朝鮮の原点です。
そして、クリミア半島編入問題でロシア自身も経済制裁を受けています。G8から仲間はずれにされG7になりました。ロシアにはお金がなく、のどから手が出るほどお金が欲しい状況です。
経済制裁を受けている国同士が仲良くなり経済取引を始めるのは自然な流れです。5月からロシア・ウラジオストクと北朝鮮・羅先(ラソン)特別市との間に定期航路が新設され、あの万景峰(マンボンギョン)号が就航します。国連安保理が進めている経済制裁の抜け穴になります。
プーチンはKGB出身で、したたかです。いろいろな思惑があるはずです。
平ったくいうと、ロシアが作った北朝鮮の命運をアメリカや中国だけには握らせないぞ、仲間に入れろ、ということです。
2017.05.02