商品の「価値」は誰が決めるのでしょうか?
売り手でしょうか、それとも買い手でしょうか?
大手アパレルメーカーは、通常、百貨店の中に店舗を構え、自社スタッフを店員として派遣しているようです。
百貨店としては場所を貸しているだけですので、定款にどのように記載されているのか知りませんが、やっていることは、まさに「不動産業」です。
では、具体的にどのような商売をしているのかと言うと、一般的に、販売価格が10,000円の衣服の場合、製造原価が20%で2,000円、粗利が80%で8,000円、この8,000円をアパレルメーカーと百貨店が4,000円ずつ分け合い、そこから販売費や一般管理費などを差し引いた残りが利益になります。
そして、その衣服が売れなかった場合の在庫リスクは100%アパレルメーカーが負います。
つまり、百貨店は売れた分だけを仕入れとして計上し、在庫はゼロということです。
ここで、もう一度、商品の「価値」の話に戻ります。
もし、この定価10,000円の衣服が売れ残り、バーゲンセールで1,500円でたたき売りして売れた場合、この商品の「価値」は、10,000円でしょうか、それとも1,500円でしょうか?
答えは1,500円です。
商品の「価値」は、希望小売価格ではなく、取引が成立した価格で決定するものだからです。
ということは、アパレルメーカーは商品価値が1,500円しかないものを原価2,000円で製造したことになります。
この「価値」は、売り手と買い手との需要・供給バランスで決まりますから、流動的です。
誰もが欲しくなるような商品力のあるものは「価値」が高く、店頭で埃をかぶっているような商品力のないものは「価値」が低いということになります。
ですので、商品力のある商品の「価値」は売り手が決め、商品力のない商品の「価値」は買い手が決めるとも言えます。
この世の中には「なんで、こんなものが、こんなに高いの?」と理解に苦しむ商品もありますが、その商品が買い手のニーズをうまく捉え、お客様に受け入れられている限り、それだけの「価値」があるのだと考えるべきだと思います。
2017.09.24