草津温泉は、草津白根山に降った雨や雪が地面に染み込み、それが地下のマグマの熱で温められ、30年以上かけていろいろな成分を取り込みながら、ゆっくりと標高の低い方に移動して湧出した温泉で、泉質としては主に酸性泉や硫黄泉です。
そのため、湯畑周辺の街全体には硫黄の臭いが立ち込め、温泉街の雰囲気を醸し出しています。
草津の源泉の温度は95℃と熱く、そのまま入浴することができません。かといって、温度を下げるために水で埋めると効能が薄れてしまいます。そこで、温泉の効能を維持したまま温度を下げるために考え出されたのが「湯もみ」です。
江戸時代以降、草津では「時間湯」という湯治が行われてきました。
まず、草津節に合わせて湯もみオバサンたちが六尺板で「湯もみ」をして48℃以下に下げ、次に、手桶で頭に30~40杯の「かけ湯」をし、そして、湯長の号令で一斉に3分間「入湯」します。それを1日4回繰り返します。
この時間湯は、最盛期には6か所の浴場で行われ、現在、湯もみショーで観光客を楽しませている「熱乃湯」も昭和32年までは時間湯をやっていました。
いままでにテレビで何度も時間湯の様子を見たことがありますが、はっきり言って苦行だと思います。
実際に時間湯で健康を回復した人もたくさんいて、健康上の効果があるのは確かなのでしょうが、自分も時間湯をやってみようという気にはなれません。
なぜかというと「かけ湯」をする気になれないのです。後頭部にお湯をかけて頭部の血管を無理やり開くことによって、のぼせたり、貧血になったりするのを防ぐのですが、どう考えても心臓に悪いと思うからです。
日本人が質実剛健だった時代には隆盛を極めた時間湯も、時代が移り変わって、私のように軟弱な人たちが増えたせいか、徐々に営業拠点が減り、今では「千代の湯」と「地蔵の湯」の2か所の浴場を残すだけになってしまいました。
2017.07.31