美食家で、お酒が好きで、取引先拡大のため、連日連夜 接待に明け暮れている中小企業経営者がいたとしたら、その会社は税金をいくら払うのか、ケーススタディをしてみます。ちょっとした頭の体操です。
前提として、資本金1,000万円、従業員5人、売上高5,000万円、利益0円、交際費800万円(1か月平均 約66万円)とします。
1)所得税:
交際費は費用ですので所得金額はゼロ、ですから所得税はゼロとなります。
2)法人税:
法人3税について考えてみます。
①法人税:
株式会社の場合、株主総会承認後の決算書類をもとに、利益に対して、益金に入れるものと損金に入れないものをプラスし、益金に入れないものと損金に入れるものをマイナスして税務調整をします。
交際費は、会社の利益の計算上は費用ですが、税法上は原則として損金不算入ですので、交際費800万円を利益にプラスすると、所得金額は800万円になります。
所得金額800万円までは法人税率が15%ですが、資本金1億円以下の場合、交際費のうち800万円までは損金算入になりますので、税務調整後の所得金額はゼロになり、法人税もゼロになります。
②法人住民税:
行政サービスの費用分担という趣旨の税金ですので、法人も住民税を納めます。
法人住民税の計算式は、(法人住民税)=(均等割)+(法人税割)です。
このうち、均等割は、資本金、従業員数を基準に10種類に分かれていて、資本金1,000万円以下、従業員50人以下の企業の場合は、道府県民税2万円、市町村民税5万円で合計7万円です。
法人税割は、道府県民税3.2%, 市町村民税9.7%ですが、法人税がゼロですので、ゼロです。
③法人事業税:
行政サービスの費用分担という趣旨の税金ですので、法人は事業税を納めます。
税金の課税対象のことを課税標準と呼びますが、資本金1億円以下の法人は、法人事業税の課税標準は法人税と同じ所得金額で、(法人事業税)=(所得金額)×(税率)です。
所得金額が400万円以下の部分については標準税率3.4%が適用されますが、法人事業税の場合、交際費を損金算入できますので、所得金額はゼロになり、法人事業税もゼロになります。
以上により、接待で利益を食いつぶしている会社が納める税金は7万円ということになりますね。たぶん。
2017.07.25