1週間前の都議選で地域政党「都民ファーストの会」が躍進し、次は、新党を結成するのか、国政に進出するのかが焦点になってきました。
国政に進出する際には「国民ファーストの会」に名称を変えることになると思いますが、まず、それ以前に、小池都知事に、そもそもこの勢いのまま国政に進出するつもりがあるのかどうかを知る必要があります。
取材陣はその辺を探ろうと水を向けるのですが、簡単にそれには乗らず、含みを持たせた賢い受け答えをしてなかなか隙を見せないので、まだどちらとも言えません。
そのような段階ですが、私は、この人はなかなかの野心家で、やはり、国政に打って出る機会をうかがっているのだと思います。機が熟し、小池新党結成を求める大きな波が押し寄せてくるその時を待っているのだと思います。
小池新党が誕生すれば、自民党に代わる新たな保守層の受け皿になり、崩壊しつつある民主党からの離反を加速し、いまの与野党を巻き込んだ政界再編につながる可能性があります。
ここで頭に浮かぶのは1990年代前半の日本新党です。
日本新党は、1992年5月に結党し、直後の参院選で小池百合子を含む4人が当選しました。そして、翌年6月の都議選で20議席を獲得し、7月の衆院選では35人が当選、あれよあれよという間に、8月には日本新党の細川護熙代表を首相とする連立政権が誕生しました。
しかし、このように国民の期待を集めて誕生した日本新党は、その後、離合集散を繰り返し、急速に支持を失って、新党結成からわずか2年の1994年に解党してしまいました。
これが過去の歴史です。
都民ファーストの会は日本新党と似たような生い立ちです。
都議選での当選者55人のうち議員経験者が30人、議員未経験者が25人、議員経験のある議員の中には、自民党からの離党者が10人、民進党からの離党者が13人、計23人の離党者が含まれています。議員経験のない25人の元の職業は、弁護士、公認会計士、税理士、精神科医、シンガーソングライター、トライアスロン選手、テレビ局社員、元アナウンサー、元国会議員秘書などで、議員としての実力は未知数です。
このように都民ファーストの会は、ひとことで言って、離反者が半分、政治の素人が半分の寄せ集めの地域政党ですので、ベテラン議員を多く抱える公明党が議会運営をしっかりサポートしなければ、都議会は混乱してしまいます。
将来、都民ファーストの会が国政進出するためには、まずそれ以前に都政でしっかりとした実績を残すことが大切で、それが試金石になります。
したがって、小池都知事が新党結成や国政進出について水を向けられても、いまはまだその質問に答える段階ではないということです。とても賢い人で、いままで都議会を牛耳ってきたおバカさんたちとは大違いです。
いま小池都知事が考えていることは、なぜ日本新党はあっという間に解党してしまったのか、それを避け、長く続く政党にするためにはどうすればよいのかということだと思います。
ところで、数日前に、自民党の党紀委員会が小池百合子が提出していた離党届をだまって受理したようです。なぜいまごろになってやっと結論を出したのか不思議です。除名するぞと息巻いていたのは何か月も前のことだったと思います。いま小池百合子とケンカしても損だということがやっとわかったということでしょうか。遅すぎます。
いまの都民ファーストの会は敵なしです。しかし、その最大で唯一の弱点は、小池百合子に続くスターがいないことだと思います。まだ、小池新党結成を云々する段階ではありません。
2017.07.09