10日ほど前、第78話【税金】所有者不明の土地が4分の1、税金の取りっぱぐれ! で、法務省のサンプル調査の結果、地方の土地の4分の1が所有者不明だったことを書きました。
今度は、有識者による
「所有者不明土地問題研究会」(座長・増田寛也・元総務相)が、
日本全体では所有者不明の土地の総面積は約410万ヘクタールに達し、九州の面積(368万ヘクタール)よりも広いという推計結果を発表しました。
地方の4分の1が不明だと、日本全体では九州の面積を超えるんですね、驚きました。
また、不動産登記後の年数と所有者不明率との関係は、最後の登記から30年未満だと不明率は21%、50~69年になると不明率は62%、90年以上では不明率が80%でした。
そりゃそうです。40才の時に不動産登記したら、その人は130才以上になっていますから、不明率が高くて当然です。
登記簿上の所有者が満州国在住のままになっている場合もあるそうですが、これはひどすぎます。
なぜこのようなことになったのでしょうか?
理由は明白です。
いまの法律では相続しても登記義務がないからです。それが何世代も続くと、法定相続人がどんどん増えていき、終いには、先祖がその土地を所有していたことすら知っている子孫がいなくなってしまいます。当然、固定資産税も払っていません。
それにしても、なぜ、国や地方自治体は、不動産業者なら誰でも知っている問題を何十年にもわたって放置してきたのでしょうか?
不思議でなりません。怠慢としか言いようがありません。
先ほどの有識者による研究会は、今後、将来予測や経済的損失の試算をし、年内を目途に政府に対策案を提示する予定になっています。
今後、政府や地方自治体が何をすべきかは、いたって簡単で、
①不動産管理情報の一元化:
いままで縦割り行政でバラバラに管理してきた不動産管理情報を一筆残らずすべてひもづけすること、
②不動産登記の義務化:
相続の際、100%相続するのか100%放棄するのかどちらかを選択しますが、相続する場合には不動産登記を義務づけ、放棄する場合には国庫に入れ国有化すること、
③所有者不明の土地の没収のルール化:
固定資産税納税通知が3年ぐらい連続で返送されてきた場合には、官報で公告した後に没収できるように法整備をすること、また、その没収して増えた国有地をどのように活用すればよいのかを検討すること、
で、サルにもわかることです。
2017.06.28