中国主導の巨大経済圏構想「一帯一路」サミットが北京で開催されました。
「一帯一路」構想とは習近平主席が提唱する現代版シルクロードで、「一帯」とは陸のシルクロードで中央アジアとの経済交流を指し、「一路」とは海のシルクロードで、東南アジア、中東との経済交流を指します。
「一帯一路」構想はAIIB(アジアインフラ投資銀行)構想とセットで進められます。AIIBは中国主導で、本店は北京、総裁は中国人、多数決の論理が成立しないため、経営は中国の思い通りになります。
中国の狙いはインフラ輸出です。東南アジア、中東の国々にAIIBが融資し、中国で在庫の山となった鉄鋼、セメントなどの建設資材を輸出し、在庫の山を切り崩しながら、東南アジア、中東で、高速道路、鉄道、発電所、港湾の建設など大型インフラ整備をするというものです。
中国は各国との共存共栄が目的と言っていますが、これはうわべだけのことで、その根底にあるものは、在庫処分と中央アジアへの影響力強化を同時に図るウルトラCであることは明らかです。
ちょっと考えれば誰にでもわかることです。
しかし、悲しいことに、参加国は、域内での中国の影響力拡大を警戒しつつも、中国の資金に頼らざるを得ないのが現状です。
南シナ海で中国と領有権を巡って対立するベトナムやフィリピンも参加しました。ベトナムはチャン・ダイ・クアン国家主席が参加、フィリピンもドゥテルテ大統領が参加しました。
ベトナムにしてもフィリピンにしても、中国に借りを作って借金地獄に陥り、おまけに、南シナ海も中国に奪われてしまうという流れになっていくものと思います。
ロシアはプーチン大統領が参加しました。ロシアはいま、クリミア半島併合で経済制裁を受けていて、お金に困っています。バイカル・アムール鉄道やシベリア横断鉄道の輸送能力拡大などのインフラ整備など近代化が遅れた極東地域開発で、中国からの投資を引き出そうと躍起です。
しかし、中国はロシアへの投資にはあまり関心がなく、カザフスタン、キルギスなどの中央アジアへのインフラ投資を通じて、この地域での中国の影響力の拡大を狙っているはずです。
その結果、かつて、旧ソ連時代にロシアの裏庭だった中央アジアは、軒並み中国の経済圏に組み込まれていくことになるのです。そのうち、これは現実のものになります。
2017.05.19