北朝鮮は核・ミサイル開発にたくさんお金をつぎ込んでいるため、北朝鮮人民は困窮していると考えられています。
では、具体的にどのぐらい貧しいのでしょうか?
北朝鮮はGDPを発表していないので正確なところはわかりませんが、そのGDPを国連や韓国銀行がなんとかして推計しようとしています。
それによると、北朝鮮のGDPは約400億ドル(約4兆4,000億円)と考えられています。
これは世界GDPランキングでは89位となり、中東のヨルダンやアフリカのコンゴと同じぐらいです。
また、日本のGDPは4兆9,000億ドルですから、北朝鮮は日本の120分の1ぐらいで、茨城県の県内総生産と同じぐらいです。
しかし、1人当たりのGDPで見ると、茨城県の人口が約290万人、北朝鮮の人口が約2,500万人であること、北朝鮮のGDPの約25%は軍事費であることを考えると、北朝鮮人民は茨城県民の10分の1以下の暮らしをしていることになります。
ところで、TVでは、北朝鮮の「核・ミサイル」のことしか報道しないので、それ以外のことにはあまり関心がないのでしょうが、北朝鮮は、もしかすると「資源大国」かもしれません。
と言うのは、英紙インディペンデントや米紙ニューヨーク・ポストが、米ワシントンD.C.にある民間シンクタンクのレポートを引用する形で報じたところによると、北朝鮮の山岳地帯の地下には、鉄、金、マグネサイト、亜鉛、銅、石灰石、モリブデン、グラファイトなど、約200種類もの鉱物が存在していて、その豊富な地下資源が手つかずのまま眠っているらしく、その資産価値は、なんと6~10兆ドル(約660~1,100兆円)にもなり、日本のGDPの2年分に相当します。
この地下資源は、中国にとって、とても魅力的なものに映っていて、その利権を独占的に手中に収めたいと考えていると思います。
そのため、国連の、北朝鮮に対する経済制裁にあたっても、常に、その前に中国が立ちはだかって経済制裁にブレーキをかけ、その見返りに、将来、北朝鮮の地下資源を独占的に確保するという風に、中国と北朝鮮とは、持ちつ持たれつの関係にあると考えられます。
そのような共存関係のほかに、中朝軍事同盟が背景にありますから、中国は北朝鮮の核・ミサイル開発を自国への脅威だとはまったく考えていないはずです。
それどころか、北朝鮮の核・ミサイル開発は中国の太平洋戦略のための地ならしの役割を果たしますので、中国にとっては好都合です。
そのため、中国は、北朝鮮に食糧や燃料を供給して、核兵器とミサイルの開発を財政的に支援し続けているのだと思います。
とは言っても、中国は国連安保理の常任理事国のひとつですから、国際社会に対しては、北朝鮮に核を放棄するように説得するポーズを見せて、北朝鮮を悪役に仕立て上げながら、自らの太平洋戦略を着々と進めているのだと考えられます。
これまで、アメリカは、北朝鮮に影響力のある中国からの圧力に期待をかけていましたが、そもそも中国と北朝鮮とは身内ですので、北朝鮮に対して致命的な打撃を与えるはずがありません。
以上のような構図で朝鮮半島情勢を考えるとわかりやすいと思います。
2017.09.29