20年ぐらい前の映画で「スーパーの女」という、見ていてとても面白い映画があります。
脚本・監督が伊丹十三、主演が伊丹十三の奥さんの宮本信子で、宮本信子がスーパーマーケット大好き主婦の井上花子を演じた映画です。
ひと言でいうと、井上花子が小学校時代の幼馴染が経営するダメスーパーを立て直すというサクセスストーリーです。
ある日、花子は、スーパー「安売り大魔王」でバッタリ幼馴染・小林五郎と再会します。花子がスーパー「正直屋」のダメさ加減ぶりを五郎に話したところ、その「正直屋」のオーナーが五郎でした。
「安売り大魔王」はいつも客であふれかえっているのに対し「正直屋」はいつも閑古鳥が鳴いています。
その後、花子が「安売り大魔王」の商売のやり方に腹を立て、「正直屋」に入社して「安売り大魔王」と闘うことになりました。
花子は、レジ係としてスタートしましたが、やがて副店長に昇進しました。
それまで「正直屋」では、賞味期限が切れた商品を店頭からいったん回収し、再度ラップして日づけのラベルを貼り替えた後で、また店頭に置くという商品のリパックを続けていましたが、副店長になった花子は「正直屋」の店舗会議で、商品のリパックの禁止を提案して「正直屋」の営業方針を根本から変えていきます。
従業員は、リパックを禁止されたため、毎日、売れ残った商品を捨てるようになりますが、それに伴い、徐々にお客様から信用されるスーパーになっていき、買い物客も増えました。
また「正直屋」で働くパートのおばさんたちも、安心して「正直屋」で買い物ができるようになりました。
そして、年が明けた正月商戦で、盛況に沸く「正直屋」が、閑古鳥のなく「安売り大魔王」に勝利するというサクセスストーリーです。
「正直屋」の従業員は商品のリパックを続けてきましたが、根は善人だったということです。
かつて「正直屋」がやっていた商品のリパックは、今でも時々行われているようです。また、スーパーによっては、弁当やお惣菜は賞味期限が切れた材料を使っているところもあると聞きます。
ところで、昔からよく「性善説」をとるのか「性悪説」をとるのかという議論がなされます。
孟子は、人は生まれつきは善だが後天的に悪を学ぶと考えて「性善説」を唱え、荀子は、人は生まれつきは悪だが後天的に善を学ぶと考え「性悪説」を唱えました。
どちらが正しいのでしょうか?
私はどちらでもないと思います。
生まれつきは、善でも悪でもなく「無色透明」で、「善にしても悪にしても後天的に習得する」ものだと思っています。そして、大切なことは、いま善なのか悪なのかを正しく見極めることだと思います。
2017.08.18