中国・江西省南昌での「南昌蜂起」から90年が経ちました。
「南昌蜂起」とは、1927年8月1日に、江西省南昌で、中国共産党史上初めて自前の軍隊で国民党軍に立ち向かったことを指し、中国共産党にとっても、中国人民解放軍にとってもエポックメイキングな出来事とされ、中国では、8月1日を「中国人民解放軍創設の日」と位置づけています。
そして、8月1日、習近平は中国人民解放軍創設90周年の記念式典での演説で「中国人民は平和を愛し、決して侵略行為はしない」と宣言しました。
しかし、南シナ海に目を向ければ、中国はベトナム漁船を南シナ海から力で排除する動きを活発化させています。
中国とベトナムが領有権を主張するパラセル(西沙)諸島海域で、中国船に襲撃されて沈没したベトナム漁船に乗っていた漁民の証言を聞き、中国はここまでするのかと暗い気持ちになりました。
その証言内容はざっと次の通りです。
6月18日朝、中国高速艇2隻がベトナム漁船に接舷し、軍服姿の中国人が続々と乗り込んできました。
軍服姿の中国人たちはベトナム漁民8人を拳銃で脅して、両手を頭の後ろで組んだままひざまずかせ、少しでも動くと鉄棒で殴ったり、電流が流れる棒を押しつけたりしました。
その後、ベトナム漁船の通信機器や航行設備を破壊し、ベトナム国旗を掲げていたポールを折って海に捨て、獲ったばかりの魚を奪い、最後にベトナム漁船の排水設備を破壊して沈没させたうえで、再び高速艇に乗り移り去っていきました。
高速艇の行く手には中国公船が停泊していました。
もし近くに僚船がいなければ、漁民8人は全員死んでいたはずです。
以上は、今年6月に発生したひとつの事例ですが、このように中国軍と中国漁船が共同でベトナム漁民に暴行を加えたり、ベトナム漁船から燃料や魚を強奪したり、ベトナム漁船が中国船に体当たりされて大破する事件が、昨年1年間で18件、今年1~6月で14件発生しています。
習近平は中国人民解放軍創設90周年の記念式典で「中国人民は平和を愛し、決して侵略行為はしない」と立派な宣言をしましたが、その一方で、中国は、南シナ海での軍事拠点化を進め、南シナ海からベトナム漁船を徹底して排除して平和を乱し、侵略行為を行いながら、ベトナムから海を奪い去ろうとしています。
言っていることとやっていることがまるで逆だと思います。
※画像は、2017年8月5日に読売新聞に掲載されたベトナムと中国の「領有権主張範囲」です。
2017.08.13
