香港が中国に飲み込まれてしまうのは時間の問題です。
ここにきて習近平が強引に香港の自治権を奪う動きをとっているからです。
2014年夏、中国は香港での選挙制度改革を発表し世界を驚かせました。それは「香港行政長官選挙で1人1票の普通選挙の実施を認めるが、立候補者はすべて親中派でなければいけない」という制度です。つまり、民主派は立候補すらできないということです。
もともと「一国二制度」は将来の台湾統一を念頭に置きながら、まずは香港で実施されたものでした。
中国としては、いずれは香港を統一するつもりだったのですが、長い間自由を謳歌してきた香港で中国化を望まない人たちの動きが目立つようになったため、いちど香港の中国化政策を進めようとしたことがありました。
それは、2012年、第4世代の胡錦濤・温家宝らの指導者が引退し、第5世代の習近平・李克強にバトンタッチされたときでした。
自我が確立してしまった大人の考え方を変えるのは難しいことですが、子どものうちに思想教育してしまえば簡単です。
当時の香港政府が、中国に対する愛国心を養う目的で、日本の小学校から高校に相当する香港の小中学校(小学6年+中学6年)の授業に「道徳・国民教育科」を導入しようとしましたが、この時は、生徒たちが抗議活動を起こしたため断念し、失敗に終わりました。
そこから5年経ったいま、再び、中国は香港を飲み込もうとしています。
今年3月に親中派だけの選挙で香港行政長官に当選した林鄭月娥(りんてい・げつが、キャリー・ラム)は、幼少期に「私は中国人です」という概念の養成を始めるべきと発言しています。
すでに、香港の教育現場では、中国化教育、中国に対する愛国心教育がかなり進んでいます。
香港大学が実施した世論調査では、香港の人たちの中で「自分は中国人である」と回答した人は約20.9%で、いまのところ5人に1人です。
しかし、小学校での授業が終わり家に戻ってきた子どもが、突然「私は中国を愛します」と歌い出し、親を驚かせたり、嘆かせたりしている現状を考えると、今の子どもたちが大人になるころには「自分は中国人である」と考える香港人が大勢を占めることになるかもしれません。
このように香港の中国化が進む中で、香港独立を訴える政党「香港民族党」は「我々は中国人ではない、香港人だ」と訴えていますが、断末魔の叫びのようです。
最近、香港の民主派勢力「香港衆志」が台湾の新政党「時代力量」と交流を深め、結びつきを強めているようですが、所詮、香港の一部のグループと台湾の一部のグループとの交流に過ぎません。
強大化した中国が、国際ルールを無視して南シナ海への海洋進出と軍事拠点化を進めている現状を見れば、中国が、香港を「力」で服従させるのは時間の問題だと思います。
香港の大富豪や企業は香港を捨てイギリスやカナダなどに避難することになると思います。
「香港統一」の次は「台湾統一」です。
習近平は「台湾統一に道筋をつけようという思いが強い」と言われている人ですから、国際的な批判を浴びても、例によって、中国の内政問題に介入しないでほしいと言いつつ「力」で台湾を併合するかもしれません。
香港の「一国二制度」の形骸化が進み、香港統一、台湾統一が現実味を帯びてきました。
いま私の手元に、以前、中国で購入した「通用中国司机地图册」という中国道路地図があり、この地図の最後のページは「台湾省」になっています。
ですから、台湾統一後も地図の改訂版を発行する必要がないということです。
※画像は「中国道路地図」です。
2017.08.07
