毎度毎度のことながら、日本はなんとバカ正直なのか、中国はなんと傲慢で傍若無人なふるまいをするのか、そして中国の横暴ぶりに対して、なぜ日本はこうも弱腰で手をこまねいているだけなのかと思います。
東シナ海では日中間の排他的経済水域(EEZ)の境界が未画定です。
日本は国際慣例にしたがって中間線を主張し、中国は日本寄りの沖縄トラフを主張しています。
沖縄トラフは九州の西から台湾の北まで円弧状に続く、長さ 約1,000km、幅 約200kmの海底の溝で、沖縄のすぐ西側にあります。
沖縄トラフが中間線よりも東側にあるので、中国はこの沖縄沖が境界だと主張していますが、もしこのトラフが中間線よりも西にあったら、中国は中間線が境界だと主張するはずです。
面積イメージは、中間線であれば、東シナ海は日本50%、中国50%となり、沖縄トラフであれば、東シナ海は日本20%、中国80%ぐらいになります。
日中両政府は、日中間の境界の取り扱いについて協議を続け、2008年、中間線をまたぐ海域に日中共同開発区域を設定することで合意しました。
しかし、2010年9月7日、中国漁船衝突事件が発生しました。
尖閣諸島沖でパトロール中だった海上保安庁の巡視船が、違法操業をしていた中国漁船に対し停船命令を出したところ、中国漁船が逃走したので、追跡して追い詰めたところ、中国漁船が故意に巡視船2隻に体当たりをし、巡視船2隻を破損させた事件です。
このとき海上保安庁が撮影し保管していた44分間の映像が動画投稿サイト YouTube に流出しました。
海上保安庁は中国漁船の船長を公務執行妨害で逮捕したのですが、中国政府は謝罪するどころか、丹羽中国大使を呼びつけて猛烈に抗議し、船長・船員の即時釈放を要求しました。
これを受けて日本政府は、まず船員を釈放し、続いて船長についても処分保留のまま釈放しました。
当時の日本の首相は、よりにもよって危機対応能力に欠けた菅直人でした。
不幸なときには不幸なことが重なるものです。2011年3月の福島原発事故のときの首相も菅直人でした。
この人が東電幹部を恫喝し素人考えで誤った指示を出して現場を混乱させました。周囲の反対を押し切って現場視察を強行してはしゃぎまわりました。福島での災害現場では首相受け入れ対応に追われ、災害自体の対応の方がストップしたため、火に油を注ぐ結果となりました。
私はそのように考えています。
話を元に戻すと、この中国漁船衝突事件の後、東シナ海のガス田共同開発の交渉が中断しました。
しかし、交渉が中断している間に、中国は単独で日中中間線付近の中国側海域で着々とガス田開発を進め、これまでに海上施設を16基建設し、うち12基をすでに稼働させてしまいました。
ガス田開発を既成事実化してしまったのです。
先月末、福岡で日中両政府が海洋問題を協議する「高級事務レベル海洋協議」が開催され、日本側がガス田共同開発の交渉再開を求めたのに対し中国側が難色を示し、平行線のまま終わりました。
日本側としては中国側に抗議し、単独でのガス田開発を止めさせるべきでした。なんのための合意だったのかと思います。
中国としては、すでに強引に既成事実化してしまったので、なにも日本と交渉する必要はありません。やったもの勝ちだなぁと思います。
しかし、もし東シナ海で中国がやったことを日本がやっていたとしたら、中国は軍隊を出動させていたかもしれません。
2017.07.12