アメリカの女性は本当に押しが強いと思います。
最近ではヘイリー大使です。
国連安全保障理事会で、北朝鮮に対する経済制裁決議を全会一致で採択するためには、なんとか北朝鮮崩壊を防ごうとしている中国とロシアを説得しなければいけません。
そこで、まずは中国の劉大使の説得を始めました。
劉大使は、例によって「対話を通じた問題解決」、「朝鮮半島の非核化」、「半島の平和と安定」という当たり前の原則論を繰り返すだけで、なかなか具体的な制裁の話に入っていけませんでしたが、1か月ぐらいかけて硬軟織り交ぜて説得した結果、遂に煮え切らない中国を落としました。
次に、ロシアの説得を始めました。
ロシアも、もともと北朝鮮への経済制裁強化には反対の立場をとっていましたが、そのロシアに対して、ヘイリー大使は「そこまで北朝鮮の友人になりたいのなら、拒否権を使いなさいよ」と脅し、このひと言でロシアは落ちました。
米中が合意した決議案に拒否権を行使すればロシアは孤立することになり、それは得策ではないと判断したものと思われます。
このようにして、国連安全保障理事会で、北朝鮮の主要な外貨収入源である石炭・鉄・鉄鉱石・鉛・鉛鉱石・海産物などの輸出を例外なく禁止する制裁決議を全会一致で採択しました。
私は、ヘイリー大使が女性だったから、中国・ロシアを説得して落とすことができたような気がします。中国・ロシアとしては、どうも勝手が違うという流れになり、落ちてしまったのではないかと思います。
一般的に、中国は抽象的な戦略論を好み、アメリカは具体的な戦術論を好む傾向が強いと思います。
もしアメリカ大使が男だった場合にはどうでしょうか?
いつまでも説得工作が平行線のままだったかもしれません。中国が落ちなければロシアも落ちません。中国が落ちたからロシアも落ちたのです。
今後、この経済制裁の効果が現れるかどうかについては、北朝鮮からの輸出の9割を占める中国がどこまで真剣に取り組むか次第です。
添付資料を見ると、北朝鮮の年間の輸出金額は約30億ドル(3,300億円)で意外に少ないと思いました。
これは、たとえば日本の大手自動車メーカーのトヨタやホンダなどの年間の研究開発費よりも少ない金額です。
外貨収入以外のお金は北朝鮮の中でぐるぐる回っているだけですので、基本的には、この外貨収入を元手に核・ミサイル開発を進めていることになります。
今回の国連安保理での説得工作で、改めてアメリカの女性は強いと思いました。日本の女性閣僚や女性外交官には見られない押しの強さを持っています。
※ 画像は、2017年8月7日の読売新聞に掲載された「北朝鮮への経済制裁イメージ」です。
2017.08.15
