8月20日、東京都千代田区立「内幸町ホール」で開催されたシャンソン・コンクールに、私の学生時代の飲み仲間のひとりが出場することになったため、久々の飲み会を兼ねて行ってきました。
このコンクールはシャンソン歌手の登竜門のひとつでもあります。
内幸町ホールの館長によれば、内幸町ホールでは年間 約400イベントが開催され、そのうち約200イベントがシャンソンかカンツォーネだそうです。
また、今回のコンクールへの出場者のひとりは、シャンソンの歌い手にとって「内幸町ホールは甲子園のようなものです」と話していました。
このコンクールは、プロ・アマ問わず、経歴・年齢問わず、国籍問わず、曲の長さも問わず、となっています。
今回、このコンクールには90数名が録音した音源を提出してエントリーし、テープでの音源1次審査・2次審査は公平を期すために名前、経歴を伏せたまま行われ、本選出場者32名が絞り込まれました。
残念ながら1名が体調不良で棄権したため、31名で争われました。その内訳は、男性5名、女性26名でした。
出場者はそれぞれ簡単な自己紹介をしてから歌い出します。
演奏活動をしているプロ、宮城県の高校の音楽教師、奈良県の中学の音楽教師、その娘の役者、講談師の中田陽子さん、6年前にご主人を亡くされた3人の子育てママ、3年前にご主人に先立たれた未亡人、などなど多彩でした。
実力は拮抗していましたが、グランプリを受賞したのは神奈川県の江口純子さんでした。国立音楽大学ピアノ科卒業、ピアノ伴奏20年、弾き語り10数年、常葉短期大学講師で、歌うピアニストとしてかなり頻繁に演奏活動をしている人です。
審査員は5人で、NHK紅白歌合戦にも出場したことのある歌手のクミコさん、ベテランシャンソン歌手の広瀬敏郎さん、ライブハウス経営の高橋良吉さん、音楽プロデューサーの奥野秀樹さん、数十年「銀巴里」の専属ピアニストで、淡谷のり子、石井好子、芦野宏、美輪明宏など多数の歌手の伴奏を務め、金子由香利の専属ピアニストでもあった藤原和矢さんの5名でした。
今回のコンクールの締めに5人それぞれの審査員から講評がありましたが、その中で、広瀬敏郎さんからの講評がちょっと面白い内容でした。
それは、あまり差のないところで差をつけるのが審査員の仕事、いくら歌がうまくても、その前の挨拶でつまずくと印象が悪い、すべての点で差がなければ最後は容姿、見栄えも大きな要素、プロとアマとの違いはひと目でわかる、同じ曲を同じように歌っても何かが違う、それは何か? 場数です、といった内容でした。
そういえば、グランプリを獲得した江口さんは話し慣れていて、人間的な深みを感じさせる人でした。そして、軽く冗談を言って観客の笑いを誘いながら、語りから歌へとよどむことなく自然に流れていった印象がありました。
ゲストは、今年3月の、30才以下の次世代シャンソン歌手発掘コンテストで最優秀新人賞を受賞した薮内彩奈さん、先ほどの審査員の「見栄えも大切」が当てはまる人で、人気シャンソン歌手への階段を駆け上がっているようです。
場数も大切ですが、賞は歌い手に、プロの歌手としての自信と風格を与えます。
まさに、昨日素人、今日からプロです。
※添付画像は「シャンソンコンクール」のチラシです。
2017.08.23
